本当は怖い② 「捨てられない」心の闇
今日は、心理のお話をいたします。
「捨てられない」心の闇、ということですが、一言で「捨てられない」と言いましてもその心の原因は人それぞれ違います。
そして、原因は一つではないんです。
今日は、「捨てられない」原因の中でも、闇と言ってもいい心の原因にスポットを当ててお話しようと思います。
それは、「見捨てられた」という思いが、捨てられない心理的原因になっているというケースです。
これは、ご自分で気付いていない方も多いかと思いますので、自分には当てはまらならい、と思ったとしてもぜひ一度最後までお読みください。
その「見捨てられた」という感覚の最初は、大抵幼少期の記憶です。
何らかの状況で、親に「見捨てられた」と強く思った場合、それが後々までずっと消えずに残ることがあります。
幼少期と言いますのは、感覚や感情が心のほとんどを占めています。
例えば、気持ちいいとか気持ち悪いとか、いいとかやだとか、そういった感覚、感情です。
理性的にモノを判断することが、まだ出来ないんです。
ですので、「見捨てられる・見捨てられた」と強く思ったとしたら、大人が考えるものとは比べ物にならないくらい、その子の頭の中で鳴り響き、大きな印象となって残ります。
その時の、「見捨てられた」という気持ちが、その場でどうなるかと言いますと、悲しみ、失望から、自分を見捨てた事に対する、「怒り」に変わります。
見捨てられた事に対し、悲しみ、失望する。
そして、自分を見捨てたことに対して、怒るんですね。
子供は、火がついたように泣きますよね。
あれは、怒っているんです。
小さければ小さいほど感情が優位ですから、ものすごく怒っているんです。
怒って、「早くこい」って全力でアピールをしているんです。
怒りには、「人を動かす力」があるんですね。
大人でも、怒りを使って人を動かしますよね。
ものすごい怒って威嚇すると、人を思い通りに動かせるんです。
恐怖を感じるからです。
この、恐怖っていうのは、人間の感情の中でも、一番、人を動かす力が強い、と言われています。
すぐに、人を動かすためには、恐怖を与えるのが一番なんです。
なぜ、人は怒りに恐怖を感じるかと言いますと、
怒りには、威嚇、負の感情が込められているからです。
負の感情とは、「憎しみ」「呪い」と言ってもいいと思います。
言ってみれば、相手を不幸、不運にしてやる、という復讐心です。
「良くも私を見捨てたな。憎んでやる。不幸にしてやるぞ。」とね。
これが、怒りの正体ですよ。
だから人は、怒りに対して恐怖を感じるんです。
身の危険を感じるわけなんですね。
ですので、身の危険を回避するために、すぐに動くわけなんです。
ものすごい剣幕で怒っている声を聞いていると、自分に向けられたわけではなくても、何だか怖くなりませんか?
人が怒っている姿を見ていると、落ち着かなくなり、不愉快な気持ちになってきますよね。
あれは、怒りに、負の感情が含まれているからなんですよ。
聞いていると、不安になるんです。
ですので、幼児が「見捨てられた」って泣くのも、悲しみ、失望、怒り、憎しみ、といった感情が、その泣き声には含まれているんです。
子供の泣き声も、目的は、泣いて親を動かしたいんです。
「見捨てられた」と思って泣く時は、負の感情を込めて、親に不安を与え、親を自分の思い通りに動かしたい、つまり迎えに来てほしい、という自分の望みを叶えたいわけなんです。
子供も、必死なんですね。
それで、結果的には親が迎えに来て、大きくなっていくわけなんですが。
その時の「見捨てられた」と思った時の感情が強烈ですと、またそんなことがあるんじゃないか、って思ってビクビクするようになります。
つまり、何度もその感情を思い出すんです。
それでその感情が、心の中でさらに大きくなります。
そうなると、日常にその感情がしょっちゅう登場する事になります。
それが、今日のテーマである、「ものを捨てる」と言う場面で登場してくるんですね。
自分が何かモノを捨てようと思った時に、「見捨てられた」と思った時に味わった感情がよぎるんです。
例えば、ぬいぐるみを捨てようとした時に、ぬいぐるみが「見捨てられた」って思って悲しんでいるんじゃないか?って思うんです。
自分が、その時の感情を感じているんです。
だから、かわいそうで捨てられないんです。
自分がとても辛かったからです。
そして、もっと強い印象になっている場合は、その時の自分の怒り、恨みまで感じることがあります。
捨てると、恨まれ、憎まれる。
そのように感じるんですね。
こうなると、もう捨てられませんね。
怖いんです。
恐怖を感じます。
こうやって、幼児期に、「見捨てられた」と思った時に味わった感情がよぎり、モノを捨てる事ができなくなります。
これが、「見捨てられた」という感情による「捨てられない」心理の一つの例です。
このような心理的状態を、ご自分で言葉にして説明することは、ほぼ無理だと思います。
もし説明出来たとしたら、じきに捨てられるようになるでしょう。
これは極端な例で、たくさんの原因の中の一つではありますが、
このような仕組みで「捨てられない」という場合もあるんですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
動画もぜひご覧ください。